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エンゲージメントサーベイを「やりっぱなし」にしないために

社員の働きがいや組織への思いを把握するために、エンゲージメントサーベイを導入する企業が増えています。一方で、「集計して報告して終わり」「毎回同じような結果で、何が変わったのか分からない」というように、やりっぱなしになってしまうケースも少なくありません。サーベイの価値は、結果をもとに対話し、職場の行動を変えるところにあります。この記事では、サーベイを職場の改善につなげるための考え方と進め方を整理します。

そもそも「エンゲージメント」とは

エンゲージメントという言葉は、文脈によって指すものが少し異なります。厚生労働省の働き方・休み方改善ポータルサイトでは、次の2つを区別して紹介しています。

  • ワークエンゲージメント:個人と仕事との関係に着目した概念。仕事にやりがいや誇りを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態
  • 従業員エンゲージメント:個人と組織との関係に着目した概念。組織が目指す方向性への理解や、組織への貢献意欲

厚生労働省のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、ワークエンゲイジメントを、「活力」「献身(熱意、プライド)」「没頭」で特徴づけられる、仕事に対するポジティブで充実した動機付けの状態と説明しています。また、厚生労働省の「令和元年版 労働経済の分析」でも、ワーク・エンゲイジメントに着目して「働きがい」をめぐる現状が分析されています。導入しているサーベイが何を測っているのかを確認しておくと、結果の読み方や打ち手を考えやすくなります。

「やりっぱなし」になりやすい3つの理由

  • 目的があいまい:「他社もやっているから」で始めると、結果を何に使うのかが決まらない
  • 結果が現場に返らない:経営層や人事部門だけが結果を見て、回答した社員には何も伝わらない
  • 改善テーマが多すぎる:課題をすべて挙げて同時に取り組もうとし、どれも中途半端になる

特に、回答しても何も変わらない状態が続くと、「書いても意味がない」と感じた社員の回答率が下がり、サーベイそのものへの信頼が揺らぎます。

サーベイを活かすための5つのステップ

1. 目的と「知りたいこと」を決める

離職を防ぎたいのか、管理職のマネジメントを支援したいのか、制度変更の効果を確かめたいのか。目的によって、重視する設問や結果の見せ方が変わります。誰が結果を見て、どのように使うのかも事前に決めておきましょう。

2. 安心して回答できる設計にする

回答者が特定されないよう、集計単位の人数に下限を設けるなどの配慮が必要です。回答データの取扱いと結果の共有範囲を実施前に社員へ説明しておくと、率直な回答が得られやすくなります。

3. 結果を職場に返し、対話のきっかけにする

スコアの高低に一喜一憂するのではなく、その背景にある職場の実感をチームで話し合うことが大切です。「この項目が低いのはなぜだと思うか」「何が変われば働きやすくなるか」を問いかけ、現場の言葉で課題を言い直していきます。

4. 改善テーマを1〜2つに絞り、行動計画にする

優先度の高いテーマを1〜2つに絞り、「誰が」「いつまでに」「何をするか」を決めます。会社全体で取り組むことと、職場ごとに取り組むことを分けると、役割分担がはっきりします。

5. 変化を確かめ、次につなげる

次回の調査で、取り組んだテーマのスコアがどう変化したかを確認します。調査の合間も、日常の面談や1on1ミーティングで状況を確かめておくと、変化の理由を説明しやすくなります。

結果を読むときの注意点

  • 一度の結果の絶対値よりも、前回からの変化や部署間の差に注目する
  • 平均値だけでなく、回答のばらつきや回答率もあわせて見る
  • 自由記述は件数の多さだけでなく、具体的な場面が書かれた声を大切にする
  • スコアの低い部署や管理職を責める材料にしない

管理職を支える仕組みも必要

職場での対話の担い手は、多くの場合、現場の管理職です。しかし、結果をどう読み、どう話し合えばよいのか分からないまま任されると、負担感ばかりが大きくなります。結果の読み方の簡単なガイドを用意する、最初の対話の場には人事担当者や外部の専門家が同席するなど、管理職を支える工夫が定着の鍵になります。

人事制度とあわせて考える

サーベイで見えた課題は、評価制度や面談の仕組み、育成の機会など、人事制度の見直しにつながることも少なくありません。なお、厚生労働省の人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)では、職場活性化制度として、メンター制度、従業員調査(エンゲージメントサーベイ)、1on1ミーティングが挙げられています。計画を作成して都道府県労働局の認定を受けてから制度を導入することや、離職率の低下目標などの要件があるため、活用を考える場合は導入前に最新の要件を確認しましょう。

株式会社ワトナルでは、サーベイの目的設定や設問の検討、結果の読み解き、職場での対話の場づくり、人事制度への反映までをお手伝いしています。「実施はしているが活かしきれていない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

参考資料