研修会社の「助成金対応講座」を商材化(顧問)
- 顧客像
- 生成AI研修を提供する研修会社
- 担当
- 株式会社ワトナル
- テーマ
- 商材設計
課題
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)を使える講座として販売したいが、要件とお金の流れが整理されていなかった。
支援の内容
講座設計(労働局への確認を含む)・申請実務・拡張の3本柱で顧問業務を設計。「申請の委任は受講企業と直接結ぶ」「申請報酬は訓練経費と分けて請求する」「受給確約は表示しない」の3原則を明文化した。
成果・ポイント
不支給と業際違反のリスクを、商材設計の段階で取り除いたスキームを提案。
背景にある制度・ルール
事業展開等リスキリング支援コースとは
人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識や技能を習得させるための訓練を行った事業主に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。助成を受けるのは、訓練を実施する事業主、つまり受講企業です。厚生労働省の案内では、令和4年度から8年度までの期間限定の助成金として創設されたと説明されています。
2026年度(令和8年度)も見直しが続いています。本コースでは4月8日に設備投資加算が新設されました。また、人材開発支援助成金では5月14日から、一定の場合に受講料等の価格設定に関する疎明書の提出が求められています。さらに本コースでは、8月3日以降に提出される職業訓練実施計画届から、「対象とならない訓練」と「受講回数の上限」が変更されています(経過措置あり)。講座を商品として販売する側にとっては、要件の変化を追い続ける体制が欠かせません。
訓練経費は無料にならない
厚生労働省は、人材開発支援助成金について「『訓練経費』は無料になりません」と注意を呼びかけ、不正受給をした事業主は公表されることも明示しています。助成金は事業主が負担した経費の一部を助成するものであり、受講料が実質的に無料になるかのような売り方は、制度の趣旨とずれ、受講企業とのトラブルの原因にもなります。
申請の代行は社会保険労務士の業務
労働社会保険諸法令にもとづく申請書等の作成、その提出手続きの代行、事務代理は、社会保険労務士の業務です(社会保険労務士法第2条)。社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て、これらを業として行うことは禁止されています(同法第27条)。研修会社が受講企業の助成金申請を報酬を得て引き受ける形にすると、この規定に抵触するおそれがあります。
支援のポイント
3本柱で顧問業務を設計
顧問業務を「講座設計」「申請実務」「拡張」の3本柱で設計しました。講座設計には労働局への確認を含めています。制度の解釈を自社だけで判断せず、管轄の労働局に確かめながら進めることで、販売した後に対象外と分かるリスクを下げられます。
3原則を明文化
- 申請の委任は受講企業と直接結ぶ:申請者は受講企業です。申請の代行を依頼するなら、受講企業が資格者と直接委任契約を結ぶ形にすることで、研修会社が申請業務を請け負う構図を避けられます。
- 申請報酬は訓練経費と分けて請求する:助成の対象となる訓練経費と、申請手続きの報酬を一つの請求にまとめると、何が訓練の対価なのかが分かりにくくなります。分けて請求することで、お金の流れを明確にします。
- 受給確約は表示しない:助成金は審査を経て支給が決まるものです。受給を約束するような表示は受講企業の誤解を招き、トラブルの原因になります。
これらを商材を設計する段階で明文化したことで、不支給と業際違反のリスクをあらかじめ取り除いたスキームとして提案しました。
同じような課題をお持ちの方へ
- 申請者を確認する:助成金を受け取るのは受講企業です。研修会社は、受講企業が要件を満たせるよう情報を提供する立場です。
- 講座の記録を整える:カリキュラム、時間数、受講者の出欠などを、受講企業が申請に使える形で整理します。
- 価格の根拠を説明できるようにする:一定の場合には、受講料等の価格設定に関する疎明書の提出が求められます。
- 広告表現を点検する:「実質無料」「必ずもらえる」といった表現は避けます。
- 改正情報を追う:本コースは年度の途中にも改正されています。最新の支給要領と労働局の案内を確認します。
- 資格者と役割を分担する:申請書類の作成や提出の代行は、社会保険労務士に依頼します。
参考資料
- 人材開発支援助成金(厚生労働省・2026年10月28日確認)
- 人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」(北海道労働局・2026年10月28日確認)
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索・2026年10月28日確認)
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