CASE

事例紹介

多店舗外食チェーンの人事労務・リスク管理を横断支援

顧客像
外食チェーン(7都県・約50拠点、非常勤約500名)
担当
株式会社ワトナル
テーマ
横断支援

課題

都県ごとに最低賃金が異なり、非常勤の賃金水準と保険の加入状況を一元で把握できていなかった。改正法への対応とBCPの整備も並行して必要だった。

支援の内容

  • 非常勤約500名の保険加入状況を一覧で判定
  • 国・都道府県・市区町村の3階層で、賃上げに使える助成金・補助金を網羅調査
  • 治療と仕事の両立支援ガイドライン(14頁+様式4点)を策定し、産業医面談を標準の流れに組み込み
  • 初版BCPの精緻化と、事業継続力強化計画の計画づくり

成果・ポイント

2026年4月施行の改正法(両立支援の努力義務化)に先回りして体制を整えた。県別の時給表と一般事業主行動計画(策定・公表済み)は社労士事務所が連携して対応。

背景にある制度・ルール

都道府県ごとに異なる最低賃金

地域別最低賃金は都道府県ごとに定められ、毎年度改定されます。厚生労働省の一覧では、改定後の金額とともに発効日が示されており、発効日も都道府県によって異なります。複数の都県に店舗がある企業では、同じ仕事でも店舗の所在地によって守るべき最低額が違い、改定の時期もそろわないため、拠点ごとの管理が欠かせません。

非常勤の保険加入要件

非常勤の従業員も、要件を満たせば社会保険の対象になります。通常の労働者の4分の3以上働く方のほか、特定適用事業所などで働く短時間労働者は、週の所定労働時間20時間以上などの要件を満たすと加入対象です。賃金要件(月額8.8万円以上)は2026年10月1日に撤廃され、企業規模の要件も2027年10月から段階的に縮小される予定です。雇用保険にも、週の所定労働時間などによる加入要件があります。

治療と就業の両立支援の努力義務化

改正労働施策総合推進法により、2026年(令和8年)4月1日から、治療を受ける労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備などが、事業主の努力義務になりました(第27条の3)。あわせて「治療と就業の両立支援指針」が定められています。厚生労働省の両立支援のポータルサイトでは、方針の表明と周知、研修による意識啓発、相談窓口の明確化、制度・体制の整備といった事前準備と、主治医の意見書や産業医の意見を踏まえて就業継続の可否や措置を決める個別支援の流れが示されています。

一般事業主行動計画と事業継続力強化計画

一般事業主行動計画は、次世代育成支援対策推進法などにもとづいて企業が策定する計画で、従業員101人以上の企業には策定・届出と公表・周知が義務付けられています。事業継続力強化計画は、中小企業者等が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が認定する制度で、中小企業のための取り組みやすいBCPと位置づけられています。認定を受けると、税制措置や金融支援、補助金の加点などの措置が受けられます。

支援のポイント

非常勤約500名の加入状況を一覧で判定

拠点が多く、勤務時間や契約期間が人によって異なる職場では、加入手続きの漏れが起きやすくなります。まず全員を同じ基準で一覧にして判定することで、確認が必要な方がどこにいるかを見えるようにしました。

3階層で助成金・補助金を網羅調査

賃上げに使える制度は、国だけでなく都道府県や市区町村が独自に設けているものもあります。7都県に拠点がある以上、地域ごとに使える制度が異なるため、国・都道府県・市区町村の3階層で網羅的に調べました。最低賃金の引上げへの対応と、使える支援策の把握を同時に進めることで、賃上げの計画を立てやすくしています。

両立支援ガイドラインと産業医面談の組込み

治療と仕事の両立支援ガイドライン(14頁+様式4点)を策定し、産業医面談を標準の流れに組み込みました。努力義務であっても、相談を受けたときに誰が何をするかが決まっていなければ、拠点ごとに対応がばらつきます。手順と様式をそろえ、産業医の意見を聴く流れを標準にすることで、拠点が多くても同じ水準で対応できる土台を整えました。

BCPの精緻化と計画づくり

初版のBCPを精緻化し、事業継続力強化計画の計画づくりを行いました。既存のBCPを出発点に、国の認定制度の枠組みに沿って整理することで、計画の抜けを点検しやすくなります。

社労士事務所との連携

県別の時給表と一般事業主行動計画(策定・公表済み)は、グループのワトナル社会保険労務士事務所が連携して対応しました。調査・計画づくりと労務の実務を分担しながら進めたことで、2026年4月施行の改正法(両立支援の努力義務化)に先回りして体制を整えることにつながりました。

同じような課題をお持ちの方へ

  • 拠点別の最低賃金表をつくる:拠点の所在地ごとに、現在の最低賃金と次の改定額・発効日を一覧にし、時給との差を確認します。
  • 加入判定を定期的に見直す:社会保険と雇用保険それぞれの要件で、契約変更や勤務時間の変化を反映して判定し直します。
  • 今後の適用拡大に備える:企業規模要件の縮小で対象となる時期を確認します。
  • 両立支援の手順を決める:相談窓口、主治医への情報提供、産業医の意見、措置の決定、その後のフォローまでの流れを決めておきます。
  • BCPは訓練と見直しまで:中小企業庁も、計画は策定・認定で終わりではなく、平時からの訓練や見直しが不可欠としています。

参考資料

※守秘義務に配慮し、ご承諾をいただいたうえで、業種・地域・規模などを匿名化して掲載しています。