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就業規則、最後に見直したのはいつですか?見直しが必要な5つのタイミング

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。内容を変更したときも同じです(労働基準法第89条)。ところが、創業時や従業員が10人を超えたときに作ったまま、長年見直していないというケースは少なくありません。

就業規則は、労働時間や賃金、休暇、退職などのルールを定めた「会社と従業員の約束ごと」です。合理的な内容の就業規則を従業員に周知していれば、その内容が労働契約の内容になるとされています(労働契約法第7条)。法律や実態とずれた規則のままでは、いざというときに会社を守るどころか、トラブルの原因になりかねません。

見直しを検討したい5つのタイミング

1. 法改正があったとき

労働関係の法律は毎年のように改正されています。最近では、たとえば次のような改正がありました。

  • 育児・介護休業法:2025年10月から、3歳から小学校就学前の子を育てる従業員のために、始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務など5つの措置から2つ以上を選んで講じることが義務になりました。措置を選ぶ際には、過半数労働組合などから意見を聴く機会を設ける必要があります。
  • 治療と就業の両立支援:2026年4月から、病気の治療を受ける従業員からの相談に応じる体制の整備などが、事業主の努力義務になりました。
  • カスタマーハラスメント対策:2026年10月から、顧客等の言動から従業員を守るための雇用管理上の措置が、事業主の義務になりました。

改正の内容によっては、就業規則や育児・介護休業規程などへの反映が必要です。

2. 新しい働き方を取り入れるとき

テレワーク、副業・兼業、フレックスタイム制などを導入する場合は、対象者、手続き、費用負担、労働時間の管理方法などのルールが必要です。制度によっては、労使協定の締結が必要になるものもあります。

3. 従業員が増え、組織が大きくなったとき

従業員が常時10人以上になれば、就業規則の作成・届出が義務になります。また、パート・アルバイトや契約社員など雇用形態が増えたときは、正社員用の規則がそのまま適用されるのか、別の規則が必要なのかを整理しておく必要があります。適用範囲があいまいだと、想定していなかった手当などをめぐるトラブルの原因になります。

4. 労務トラブルが起きたとき

懲戒、休職、残業代、ハラスメントなどのトラブルが起きたとき、就業規則に根拠となる規定がない、または、あいまいだと、会社として適切な対応をとりにくくなります。トラブルをきっかけに、同じことが起きないよう規定を点検しましょう。

5. 賃金制度や評価制度を変えるとき

賃金の決定・計算・支払の方法や昇給に関する事項は、就業規則に必ず記載しなければならない事項です(労働基準法第89条第2号)。退職金制度を設ける場合も、適用範囲や計算方法などの記載が必要です(同条第3号の2)。制度を変えたときは、規則も一緒に変える必要があります。

変更するときの手続き

  1. 変更案をつくる:法令や現場の運用と照らし合わせて、変更する箇所を整理します。
  2. 意見を聴く:労働者の過半数で組織する労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴きます(労働基準法第90条)。
  3. 労働基準監督署へ届け出る:変更後の就業規則に、意見を記した書面を添えて届け出ます。
  4. 従業員に周知する:作業場の見やすい場所への掲示や備え付け、書面の交付などの方法で周知します(労働基準法第106条)。周知していない規則は、労働契約の内容として認められないおそれがあります。

「不利益な変更」には特に注意

手当の廃止や賃金の引下げなど、従業員にとって不利益な変更は、原則として従業員との合意なく、就業規則の変更だけで行うことはできません(労働契約法第9条)。合意がない場合に変更が認められるのは、変更後の規則を周知し、かつ、従業員の受ける不利益の程度、変更の必要性、変更後の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況などに照らして、変更が合理的といえるときです(同法第10条)。経過措置を設ける、十分に説明するといった配慮が欠かせません。

見直しのときのチェックポイント

  • 最後に改定した日と、その後の法改正を確認したか
  • 規則の内容と、実際の運用(勤務時間、休日、手当など)が一致しているか
  • パートや契約社員など、雇用形態ごとの適用範囲がはっきりしているか
  • 育児・介護休業規程や賃金規程など、関連する規程と食い違っていないか
  • 改定後の規則を、従業員がいつでも見られる状態にしているか

厚生労働省は「モデル就業規則」を公表しており、2025年(令和7年)12月にも改定が行われています。ただし、モデルはあくまで一般的な例です。自社の実態に合わせて調整することが大切です。

当事務所では、現行規則の点検から改定案の作成、意見聴取や届出の手続き、従業員への説明までお手伝いしています。「最後に見直したのがいつか分からない」という場合も、お気軽にご相談ください。

参考資料